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『風孕み冥界へ歩む』 monologue1810
発作はいつも突然に始まる。
喉の奥から心臓にかけてがぎゅっと苦しくなって、その後は息もできない程。圧迫されるように咳き込む。何度か咳き込んでいると、そのうち吐血する。白いシーツを血が汚していく。
…………おぞましい。醜い。僕のからだが、汚れて、穢れて、蝕まれていく。
やがて意識が遠のく。
もう少しだよ、頑張れ。そんな声を、どこか他人事の様に聞いている。
このまま目が覚めなければ良いのに。
また、汚れてしまう前に。
【声の能力】─『別れ』
『この病は難病で……ええ。きっと彼は、二十歳までは生きられない』
周りが明るい未来に向かって駆けだす中、僕だけが死への道を歩んでいる。
僕は皆とは違うのに。
どうしてまだ、抗って必死に生きようとしているの?
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個人番号:1810
風箕 紫乃(かざみ しの) 11歳
生まれた時より治療困難の難病を患っている子ども。幼い頃、両親と医者の会話を偶然聞いてしまい、自分は長くは生きられない事を知る。その後は、自分の前では必ず直ると嘘を吐く医者や両親に不信感を抱き、塞ぎがちな性格になる。どうせ誰よりも早く死ぬのだから、親しい友人など作ったところで無駄だと感じており、どこか達観したような印象を受ける。
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