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『滲む雨、最果てより彼方』monologue1685
『化け物!あっちへいけ!』
ずっと、誤解されやすい人生だった。
元々目つきが悪いからか、それとも無口なためか、 周囲からそんな風に呼ばれ、虐げられていた。
化け物。その響きは悪くないと思った。 化け物で結構。それが、無実の俺に与えられた称号なら、もう人とは関わらずに生きていきたい。
傲慢だろうか。
【声の能力】─『G線上のアリア』
優しい響きの優しい音楽。
ああ、俺は、本当はこういう人になりたかったんだ。
『今からでもなれるさ』
不意に、閉ざした世界の外側から、聞こえてきた声。赤毛の彼は語る。
『今からでも、なれるよ。だって……』
『僕は君を、あたたかい雨のような人だと思ったから』
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個人番号:1685
杜若 郁(かきつばた いく) 14歳
無口でぶっきらぼうな少年。第一印象の評価がそうである為か、幼い頃からよくいじめを受けていた。その度に転校を繰り返していたが、どこへ行っても上手く馴染めず、やがて人の輪には入らず一人で過ごすことを選ぶようになる。しかし、学園に入学してからは理解者に出会う事ができ、最近では随分笑顔も見られるようになってきた。
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