top of page
『後悔と懺悔の革命家』 monologue0002
もしも、生まれる前から人の運命が決まっていたのだとしたら。
足掻くことは罪なのだろうか。
嘆くことは罪なのだろうか。
全てを諦めてしまうことは、罪なのだろうか。
そんな理不尽なことが、あってたまるか。
今すぐここから逃げ出そうと、君の手を取った。
逃げて、逃げて、どこまでも遠く。
雲の上でも、海の底でも、君が望むならどこへだって行けた。
皆と自由を掴むためなら、何だってした。
それが最善だって、何の疑いも無く、そう思っていたよ。
でも、
『作戦』が終わって一人生かされた僕の手に残ったものは、大きな後悔だけだった。
この声のせいで、多くの仲間を失った。
僕が殺した。僕が奪った。
彼らから、何もかもを。
あぁ、何度謝ったって足りないや。
かつて、自由を手に入れようとした【救世主】は、今ではもう、何れ消えゆく残響と成り果てた。
───────────────
当時の資料より抜粋
個人番号:■■■■→0002に変更
■■■ 響希→日野川 響希に改名
潜在能力・学習能力共に高く、取り分け秀でた生徒であった。しかし、最終学年時に班員達と示し合わせ、学園に対して大規模な反乱を引き起こしてしまう。彼には絶大な信頼を置いていただけに、非常に残念な出来事であった。
だが、我々も教育者である。哀れな少年を見捨てる事は決してしない。我々は、慈悲の心をもってして、彼に更生の機会と学園への忠誠心を与える事にした。
全てはヴィクトリア様の心のままに。
学園の歯車となった彼は、最期の瞬間まで、失われた音を奏で続けていくのだろう。
bottom of page